東京地裁平成22年3月30日判決

 理容店経営者に対する電話機リースの事案です。リース料の支払いをしなかったことで,リース会社から債権譲渡を受けた債権回収会社から訴えられました。
 営業実態は以下の通り。
1,3階建ての自宅で,その1階の一部で理容店を営み,2階及び3階を居住部分として利用している。本件リース物件のうち主電話機は1階の理容店付近に設置され,コードレスホンは2階の居間に置かれていた。
2,理容業の売上は,100万円以下で,生計は主として被告の夫(単身赴任中)と次女の給与収入に頼っていた。
 裁判所は,以下のように述べて被告のクーリング・オフの主張を認め,原告の請求を棄却しました。
 「被告は,従前使用していた家庭用電話機の交換を目的として,本件リース契約を締結したものであるところ,ビジネス用の機能が満載な本件リース物件を利用するに適した理容業等の営業実態を有するものでもないのに,電話機のメンテナンスを期待できるなどと本件リース契約の必要性を誤解して,本件リース契約を締結したものである。
 したがって,(略),本件リース契約が「営業のために若しくは営業として」締結されたものとは認めるに足りないというべきである。」