千葉地裁平成22年10月29日判決

 自宅兼飲食店で,飲食店の名前でリースの契約を締結した事案です。この判決は,私自身が代理人の1人として関与しました。
 2階建ての自宅のうち,1階の3分の2が店舗用スペース,1階の3分の1と2階が居住用スペースという構造でした。リースした電話機は店舗部分と居住部分に設置していましたが,飲食店で電話を使用することは殆ど無く,電話機は主に家庭用として使用しておりました。
 裁判でユーザーは,特定商取引法のクーリング・オフ等を主張し,リース会社に対して既払リース料の返還を請求しました。
 特定商取引法の適用を巡っては,リース会社から①多額の営業収入を得ており,他の裁判例にあるような零細事業者ではない,②飲食店名で契約を締結している,③リース料を飲食店の経費として計上している,④電話帳にリース物件の電話番号を飲食店名で載せている等主張して,特定商取引法の適用除外である「営業として若しくは営業のために」(26条1項1号)に該当すると主張しましたが,判決は,名古屋高裁判決と同様に,契約内容を詳細に検討した上で,ユーザーのクーリング・オフを認めました。
 なお,リース会社は,リース契約から3年後にリース契約をクーリング・オフしたことについて,「権利の濫用である」との主張をしましたが,判決は,これを認めませんでした。