名古屋高裁平成19年11月19日判決

 電話機のリース契約について,クーリング・オフを認めた判決として,リーディングケースともいうべき判決です。

 印刷画工業者に対して電話機のリースをした事案です。特定商取引法26条1項1号の適用除外については,以下のように述べております。
   「その趣旨は,契約の目的,内容が営業のためのものである場合には適用除外とするというにとどまり,仮に申込みをした者,購入者又は役務の提供を受ける者が事業者であっても,これらの者にとって,営業のために若しくは営業として締結するものではない販売又は役務の提供を特商法適用の除外事由とするものではないというべきである。そうすると,同号が定める適用除外となるのは,申込みをした者,購入者又は役務の提供を受ける者が事業者であり,かつ,これらの者にとって,当該契約の目的,内容が営業のためのものである場合ということになると解される。」
    と述べ,

1,代表者が40年以上に渡って1人で印刷画工を行っていたこと。
2,借家を自宅兼事務所としてそれまでは仕事のために家庭用電話機1台を使用していたに留まり,事業規模からして従前から使用していた家庭用電話機が1台あれば十分であること。
3,契約の2年前から年間の営業所得が50~60万円であったこと。
4,契約の翌年には所轄税務署に廃業届を出していること。
5,リース物件が複数の従業員がいることを想定したものであること
    などの事情を考慮した上で本件は特商法の除外事由には該当しないとし,ユーザー側のクーリング・オフの主張を認めました。