福岡高裁平成4年1月21日判決(警備機器)

福岡高裁平成4年1月21日判決
1 事案の概要
  ユーザー(控訴人)は,警備会社(サプライヤー)との間で警備契約を締結した。警備会社は,リース会社(被控訴人)に警備機器(警報機等)を売却し,リース会社がこれをユーザーにリースし,警備会社はその機器を使って警備を行っていた。
  その後,警備会社が倒産して警備業務を行わなくなったので,ユーザーはリース会社に対するリース料の支払いを止めた。
   リース会社はユーザーに対し,残リース料の支払いを求めて訴訟を提起した。 原審(福岡地裁小倉支部平成2年3月28日判決),はリース会社勝訴,これを不服とするユーザーが福岡高裁に控訴した。
   福岡高裁は,役務提供契約とリース契約が社会経済上密接不可分であることを前提に,役務の提供が行われなくなった後のリース会社のリース料請求が信義則に反するとした。
2 判旨(一部抜粋)
  「(略)同契約の実態は,同控訴人と訴外会社間の本件警備契約の本質的要素である警備実施という債務の履行は同社に委ねながら,同控訴人は,訴外会社のすすめるままに本件リース契約を締結し,その大半が警備料に相当する金員をリース料名目で被控訴人に支払うことを約したものにはかならず,・・・」
 「・・・本件警備契約に基づく訴外会社の警備の実施と,同控訴人が訴外会社に負担する警備料月額各700円及び被控訴人に負担する本件リース契約上の月額リース料各9300円の支払は,社会経済上,密接不可分に関連していたものである。」
  「・・・本訴請求中,社会通念上相当と認められる購入価格から算定される本件警備機器の適正なリース料及びリース料相当損害金を越える部分の支払を命じることは,信義則に反して許されないと解するのが相当である・・・」